ひと目でピンとくる 伝わる写真の撮り方

三脚の用途に応じた使い分け

はじめに

三脚は重いしかさばるので、使わなくて済むのなら本質的には使わないで済ませたいものでもあります。ですが、それでも三脚があることによって撮影が楽になる、もしくは三脚がなければ成り立たない撮影もあります。三脚を使う目的は何か。その目的を果たすためにはどういった三脚を選べばよいのか?といったこと先日の記事で書いてみました。

今日はその続き。私自身がどういった目的でどういった三脚を使っているのか紹介します。

屋外ロケ持ち出し用の三脚

ここからは私が使っている三脚の紹介。私は用途によって複数の三脚を使い分けています。移動が多いロケのような、フレキシビリティが求められる現場の場合はカーボン製三脚に3ウェイ雲台をつけて使っています。

これが私が使っているカーボン三脚。マンフロットの755CX3です。こちら本来はビデオ三脚なのです。写真撮影のロケでの利用をメインとしつつも、簡単なムービー撮影でも使えるようにとイメージしてこちらをチョイスしました。

とはいえ、ムービー雲台は写真撮影には使いにくいので、写真撮影に持ち出すときはビデオ用雲台を外して、写真用の3ウェイ雲台に付け替えています。この3ウェイ雲台はマンフロットの808RC4を使っています。クイックリリースプレートがついていて、カメラとボディを簡単に着脱できるタイプのものです。

ちなみに、雲台の下に赤い半円形のものが見えると思いますが、こちらはビデオ雲台ならではのボールレベラーです。ボールレベラーってみなさんご存知ですか?この部分が自由雲台のようにぐるぐる回転するようになっていて、水平を合わせることができるようになっているのです。写真撮影の場合は特定の画角だけ水平があっていればいいので、カメラの水平水準器に頼って水平を出せばよいのですが、ビデオ撮影の場合はパンやティルトといったカメラの向きを上下左右に動かすことがあります。写真用雲台の水平合わせのようにカメラ単体で水平を合わせてしまうと、パンした時に水平がずれてしまうのです。そういったことがないように、ビデオ雲台の場合は雲台の台座そのもので水平を合わせられるようになっているのです。

ボールレベラーはムービー用三脚ではよく見る機能ですが、写真用三脚にはありません。ですが、写真撮影時でもボールレベレラーがあるとクイックに水平確保ができるようになるので、実はかなり便利です。ちなみに、この三脚+雲台セットで4kgほどです。もっと軽いカーボン三脚もありますが、安定性や利便性も考えてこのセットを使っています。

スタジオ固定利用の三脚

スタジオなどで照明をしっかり組み上げてポートレートや物撮りをするときは、機材を持ち運ぶことがほぼありません。そういった現場では機材の可搬性のことを考慮しなくてもよくなるので、重量級のアルミ三脚とギア雲台を使っています。

これが私が使っているアルミ三脚。マンフロットの475Bです。先程紹介したカーボン三脚は雲台抜きの三脚本体だけで重量が2.5kg。対してこの475Bは4.3kgです。この2kgの差はけっこうなもので、ちょっと持ち上げただけでもロケで持ち運ぶ気が失せてしまう重量です。その分、安定感は並大抵ではありません。軽量級の三脚に70-200mm f/2.8などの大型望遠レンズを装着して撮影すると、操作時のちょっとした衝撃をひろってしまって、三脚を装着しているにも関わらず手ブレが発生してしまうことがあります。その点この475Bはずっしり安定しています。かつて私はPhaseOne P45+という中判一眼レフカメラを使っていたのですが、中判だけあって機材はかなり重く、それでいて中判の大型高解像度センサーはちょっとしたブレも影響を受けてしまいます。そんな機材でも全く揺れを拾わず安定した撮影を行えていました。

雲台はマンフロットのギア雲台410を使っています。マンフロットのギア雲台は耐荷重別に3種類ラインナップされていますが、これはその中でも一番小さいタイプのものです。それでも耐荷重は5kgなので、普段私が使っている機材では十分です。

ギア雲台ってみなさんご存知ですか?一般的な3ウェイ雲台は先程のロケ用持ち出し三脚の説明で写真を掲載しているように3本のハンドルがついていて、これらを緩めることによって、カメラの前後、左右の傾き調整(ティルト)と、水平方向の調整(パン)を行えます。ですが、実際にやってみるとこの調整はけっこう面倒なのです。カメラのファインダーをのぞきながらハンドルを緩めてカメラの位置や向きを変え、狙った画角にカメラ位置を決めます。決まったらその位置で固定するためにハンドルをギュッと締めるのですが、締めた瞬間微妙に角度がずれてしまうことがけっこう頻繁に発生するのです。

でもギア雲台は使い勝手が全く違います。まずデフォルト状態では全てが固定されていて、縦横含めて全く動かないようになっています。前掲の雲台写真を見ていただくと、ノブの根本に刀のつばのような、手裏剣型のノブがついているのが見えると思います。この手裏剣型ノブをひねるとロックが外れて一気に角度を変えることができるようになります。そうやって大雑把に画角を合わせた後に、先端のノブをネジを回すかのようにくるくる回すと、少しずつ雲台の角度を変えていくことができるのです。これにより、カメラの向きをちょっとだけ左右方向に変えたいとか、レンズの向きを上下方向に変えたいといった場合、ちょっとノブを回すだけすぐに対応できます。このように精密なフレーミングや画角調整にはギア雲台はうってつけなのです。

ただ、ギア雲台にもデメリットがあります。前述のように緻密な調整は得意なのですが、素早く動かすのは苦手です。例えば飛んでいる飛行機や走行中の車など、動きがあるものを追いかけながら撮影するような用途ではギア雲台は極めて使いづらいです。むしろそういった用途では3ウェイ雲台の方が向いています。

ということで、重量級のアルミ三脚とギア雲台セットで約5.6kg。持ち運ぶとなると苦行この上ないですが、スタジオで使うとなると、どんな機材でも安心してガッチリ固定できる、頼もしい装備です。

まとめ

いかがでしたでしょうか?私自身がどういった目的でどういった三脚を使っているのか書いてみましたが、こういった考え方がみなさんの三脚選びに多少なりとも参考にしていただければ幸いです。

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