ひと目でピンとくる 伝わる写真の撮り方

波紋に浮かぶネイルカラー

はじめに

化粧品のような消費財はお客様に記憶してもらうことが大切なので、必然的に広告も商品のブランドイメージを大切にしつつもインパクトを重視したクリエイティブが多くなります。ということで、今回は化粧品を題材としてイメージ重視の広告クリエイティブっぽい商品写真を撮ってみようと思います。

ちなみに通常の広告クリエイティブは「○○の訴求のために○○のイメージを作る」といった感じでねらいが明確なのですが、今回は作例目的で広告っぽい写真を撮ろうとしているだけなので、途中でいろいろ考えながらセッティングを進めます。そんな検討プロセスも含めて記載してみます。

今回の被写体

今回はネイルカラーを撮影してみます。ドラッグストアで安めのものを選んで買ってきてみました。安い商品でも高級そうな雰囲気を出せるかチャレンジです。

ネイルカラーは鮮やかな色と光沢がキモなので、カラフルでみずみずしい様子を表現してみることにしました。ということで用意したのは浅い透明アクリルケースと光沢黒アクリル板です。

水を張った背景の上に商品を置いて、水面への反射像が波紋でゆらゆら揺れる様子を撮ってみようと思います。透明アクリルケースに黒アクリル板を入れて、商品を配置。このケースの中に水を入れるわけですが、その前にまずはセッティング。

セッティング

まずセッティングの全体像から。いろんなライトが入り組んでいるので、一つずつ順番に説明します。

セッティング図に起こすとこうなります。テーブルのセンターに被写体のアクリルケースを置いて、両サイドのソフトボックスからフラットでやわらかい光を照射します。カメラ横に設置しているのはスヌートでして、ボトル正面だけをピンポイントで明るく照らします。背景の白壁にはライトを照射してアクリル板への映り込み用の明かりを作ります。図には背景用のライトは2灯記載していますが、最初は1灯だけで仕上げるつもりでした。が、後から気が変わってもう1灯追加します。そのあたりは後述。
カメラEOS R5
レンズRF70-200mm F/2.8L IS USM
焦点距離200mm
ISO感度200
露出プログラムマニュアル
シャッタースピード1/125
絞りf/11

カメラのセッティングはこのような感じ。ポイントはボカさないこと。斜め上から撮っているので絞りが浅いと被写体の奥がすぐにボケてしまいます。今回は被写体となるネイルカラーのボトルとともに画面全体の波紋を撮影したいので、手前から奥までくっきりピントが合った状態にするためにf/11まで絞っています。

撮影の段取り

まずはラフに被写体を置いて、両サイドのソフトボックスだけを点灯して様子を見てみます。この状態では被写体の位置が下すぎてアクリルに反射したボトルの蓋部分が切れてしまっています。そして黒アクリルをよくよく見てみたら背景用ライトが映り込んでしまっています。ボトルへの光の当たり方も若干微妙です。ということで、ボトルの位置を変え、背景用ライトを上部に移動させてみました。

そうやって撮影したのがこちら。今回は両サイドのソフトボックスに加え背景用のライトも点灯させています。ちなみにこの時の背景用のライトは1灯です。

細かくチューニングしたいところもあるのですが、構図と光の状態の仕上がりはざっくりこんな感じかと思いますので、いよいよ透明アクリルケースに水を入れてみます。

ケースに水を入れて撮影してみたのがこちら。この状態でテーブルを揺らして波紋が発生している時にタイミングをあわせてシャッターを押します。

こういった撮影ではタイミングが命。イメージした波紋が撮れるまで何度も揺らしては撮って、揺らしては撮ってを繰り返します。

そうやって様々な波紋の様子を撮り進めていたのですが、途中でふと気づいてしまいました。

「この画、おもしろくない」

なんか物足りなく感じてしまったのです。確かにこういった写真もあるにはあるし、ネイルカラーのみずみずしさを表現できてなくもないのですが、ネイルカラーの鮮やかさが全然表現できている感じがしないのです。ということで、何かしら工夫してみようと思ってカラーフィルターで色彩を足してみることにしてみました。

色彩を足してみる

背景用ライトにカラーフィルターをつけて撮影してみました。

背景用ライトに色がついたことで、水面に映り込む光の色もカラフルになりました。が、ただ色がついただけで、なぜその色なのか意味づけができていないので、このままでは微妙。

いろいろ考えた結果、ネイルカラーの色とカラーフィルターの色をマッチさせることで色のチョイスに意味を持たせてみました。先ほどまでは単色カラーライティングだったのですが、今回は赤と青のネイルカラーを撮影していますので、照明をもう1灯プラスして赤と青の2色の光を背景の白壁に照射してみることにします。

ここでようやくライティング図に記載の通り背景に向けて2灯照射することにします。照射するときは光の芯を同じ位置に合わせるのではなく、あえて芯の位置をずらすことによってグラデーションを作ります。

赤と青がミックスされた濃い紫のグラデーションになりました。この状態でテーブルを揺らして、ちょうどいい波紋が撮れるまでタイミングを合わせてシャッターを押し続けます。

ちょうどいい波紋を撮れるまでが結構大変。ライティングを決めてから400枚以上トライアンドエラーを繰り返してしまいました。

まとめ

そうやって、ひたすらリテイクしまくった中から自分のイメージ通りの波紋を撮れた写真をピックアップ。これをベースに細かいところをレタッチして仕上げたのがこちらの写真です。

いかがでしたでしょうか?こういった写真を本当に広告のクリエイティブとして撮る場合は、ボトルの数や配置、テキストの位置などの制約が入ってくるので、今回みたいにフリーダムに撮影することはできないかもしれませんが、なんとなく作品作りのための考え方やアプローチはイメージいただけたのではないでしょうか。みなさんの物撮りの際に何かしら参考になれば幸いです。

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