ひと目でピンとくる 伝わる写真の撮り方

ポートレート撮影のワークフロー(準備編)

はじめに

先日のこと、ビジネス用途のポートレートの撮影をご依頼いただき、レンタルスペースで撮影を行いました。この時の事例をひとつのサンプルとして、事前準備から撮影本番までの段取りを2回に分けて紹介します。

ビジネスプロフィールの撮影をご依頼いただいたのは人事コンサルティング奥山事務所の奥山様。今回ありがたいことに私のサイトの記事用に、撮影時の状況や納品写真の公開を承諾いただけましたので、この時の事例を紹介させていただこうと思います。なお、以下が奥山様のプロフィールサイトでして、下段に今回撮影した写真を使っていただいています。

中小企業のリーダー研修と評価制度なら プロ講師/ファシリテーター 奥山修

また、以下のオンラインイベントのサムネイル掲載用プロフィール画像にも今回の写真を使っていただいています。

写真の用途を確認

一言でビジネスポートレートと言っても仕上がりのイメージは人それぞれまちまちです。そこで、依頼人がイメージする仕上がりを確認すべくzoomでお打ち合わせをさせていただくことに。

まずは用途の確認から。撮影した写真を何に使うかです。お伺いしたところ、以下3点での利用を想定されていました。

  1. クライアントへの提案用
    研修講師をやられている奥山様が、クライアントに「講師プロフィール」として顔写真を求められることがあり、その際の写真として利用
  2. 研修資料の自己紹介
    研修資料の冒頭の講師紹介ページで表示
  3. SNSプロフィール
    SNSのプロフィール画像として活用

仕上がりイメージの確認

用途が明確になったところで、続いて仕上がりイメージの確認。前述1と2は比較的オフィシャルな雰囲気。3は若干カジュアルなご本人のキャラが見えるようなイメージがよさそうだと推察しました。そこで過去に撮影した様々なポートレートの実例をお見せしながら、期待する仕上がりを詰めていきます。ここでの確認ポイントは3点です。

  • 背景
  • 画角(顔だけ・上半身・全身など)
  • 表情・服装

まず背景について。白背景をはじめとする単色背景か、何かしらの背景ありか、この選択によって撮影場所が変わるので背景の確認は必須です。今回は冒頭の1と2は白背景、3は背景ありで綺麗な場所での撮影をイメージされていて、画角は胸から上のバストショットのみでOKとのことでした。

表情や服装は写真の仕上がりイメージに関わるポイントです。依頼人からどういった感じで仕上げたいかイメージを聞いた上で、自分なりに表現方法を考えます。撮影を依頼される方は写真のことに詳しいわけではないので「こんな背景でこんなライティングで撮ってほしい」という具体的なイメージを伝えられるわけではありませんし、仮に「こう撮りたい」というイメージがあったとしても、それが目的に適しているとは限りません。そのため、具体的なイメージがあればその通りには撮るのですが、そのほかにも「このような撮り方の方が目的に合致していそう」というイメージをご提示します。

美容院で「今日はどんな感じにしましょう?」と聞かれたときに、具体的に「前髪は○cmでサイドを○ミリ刈り上げて…」と詳細なイメージを伝えられる人は少ないと思います。だいたいは「短めにさっぱりと」「前髪を作って後ろは肩ぐらい」というざっくりイメージを伝えるぐらいで、あっても雑誌の切り抜きで「こんな感じで」と提示するぐらいではないでしょうか。こういったざっくりしたイメージを具現化するのが美容師の腕の見せ所だと思いますが、それはフォトグラファーであっても同様です。

ということで、漠然としたイメージから具体的な撮影プランを練り上げるのもフォトグラファーの重要な仕事なわけですが、撮影対象の方の姿とキャラを事前に把握できていると、よりソリッドに仕上がりイメージを組み立てられます。依頼人の方とzoomでお話させていただいたのはそのためです。どういった背格好で、どういった話し方で、どういった表情をする方なのか。こういった人となりを理解できておくことで、その方の持ち味を表現しやすくなります。

撮影場所探し

依頼人とのzoomを経て撮影項目を固めることができたので、いよいよ準備に取りかかります。まずは撮影場所探しから。今回は白背景だけでなく室内風景バックも撮影するので、ひとつの場所で両方とも撮影できる施設を探します。撮影場所探しで活用するのはSpaceMarketです。東京都心部で以下の条件の施設を探します。

  • 白背景撮影ができるように白い壁がある
  • 室内風景も撮影できるようなインテリアがある
  • 値段を安く抑えられる(単価が安い、1時間単位で予約できる)

この3軸でピックアップしたのが4候補。

【1】牛込柳町の施設
【2】人形町の施設
【3】池袋の施設
【4】飯田橋の施設

撮影場所を探すとき、求める撮影ができることは大前提ですが、依頼人への負担をなるべく減らすというのも大切な視点です。ここで言う負担は場所と金額。撮影現場への移動時間をなるべく短くできるように、当日の動きを事前にお伺いした上で候補のピックアップを行います。そして金額。撮影のしやすさだけを考えたら小規模の白ホリスタジオを借りた方が圧倒的に楽なのですが、施設使用料がどうしても高くついてしまいます。なので今回はスタジオではない普通のレンタルスペースでニーズにマッチする場所を探すことに。その際に時間あたり単価だけでなく最低利用時間も併せて検討します。1時間5,000円だったとしても最低利用時間が3時間だったら支払金額は15,000円になってしまいます。そのため、単価だけでなく1時間単位で借りられる場所を探します。

ということで、4つの候補から依頼人と相談した結果【1】の場所に決まりました。

U studio(新宿区・牛込柳町駅最寄り) – SpaceMarket

今回の撮影はフォーマル用途としての「白背景」とSNS掲載用の「背景あり」の2シーンの撮影がミニマムリクワイヤメント。この2シーンだけであれば、照明のセットから撮影、撤収完了までで1時間で対応可能と判断して、撮影スペースも1時間だけしか予約しませんでした。

なのでセッティングや撤収でまごついて時間を延長させてしまうのは依頼人に金銭的な負担をかけてしまいます。撤収はババッと片付けるだけなのでスピーディーに対応できるのですが、問題はセッティング。機材をバッグから出して組み立てていくのはさすがに多少時間がかかります。そのため、事前に撮影の段取りを明確にした上で、準備できるところはあらかじめ準備しておくようにします。

例えば、これは事前のバッテリー装填の様子。現場に向けて出発する直前にカメラ、ストロボ、コマンダーにそれぞれバッテリーを装着しておくことによって、現場でバッテリーを入れる手間を省きます。このように、一つ一つの作業は大して時間がかかるものではないですが、まとまると数分かかるもの。現場でなければできない作業以外は全て事前に済ませておきます。

まとめ

ということで、今回はポートレート撮影の事前準備にフォーカスして記事書いてみました。次回は具体的な画作りと撮影ステップを紹介します。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA