ひと目でピンとくる 伝わる写真の撮り方

ローキーなスプーン&フォーク

はじめに

ローキーという言葉を知っていますか?写真や映画などで薄暗く重い雰囲気のする画のことをローキー(low key)と言います。ローキーだとその名の通り薄暗い仕上がりになるので陰影は表現しやすいのですが、場合のよっては被写体の素材の質感みたいなものが潰れてしまってうまく表現できないこともあります。そこで、今日はローキーかつ質感を生かした物撮りにトライ。被写体は手元にあった木目調のスプーンとフォークのセットです。

撮影シーン

こちらが撮影現場の写真です。見ての通りセットはとてもシンプル。テーブルに光沢黒アクリルを敷いて、その上に被写体となるスプーンを置きます。

セッティングを図に起こすとこんな感じ。カメラの真正面位置に乳白アクリルを立てて、その背後にソフトボックスをつけたストロボを配置しています。

乳白アクリルの背後はこのようになっています。ストロボにソフトボックスをつけてアクリル越しに被写体のスプーン、フォークに向けて照射しています。

ライティングの考察

部屋の蛍光灯を消してストロボのモデリングライトだけを点灯した状態がこちらです。ソフトボックスと乳白アクリルはいずれもライティング的には光源の面積を広くして光を柔らかくする働きがあるので、役割が重複していると感じる方もいるかと思います。実際、光を柔らかくしたいのであればソフトボックスだけで事足ります。ソフトボックスの前面に乳白アクリルを配置している理由はフラットな映り込みを作るためです。

今回は被写体のスプーン、フォークセットの下に光沢黒アクリルを敷いています。光沢アクリルなので周囲のものを反射しまくるわけです。ここにソフトボックスから光を直接照射すると、ソフトボックス表面の白布のシワシワがそのまま黒アクリルに写り込んでしまうのです。そのため、傷やヨレのないフルフラットな乳白アクリルを配置することで、黒アクリルへの映り込みをフラットにしようとしたのです。

では逆にソフトボックを使わずに乳白アクリルだけで事足りるかというと、それもそれで若干難点があるのです。乳白アクリルの裏側からストロボを直接照射してしまうと、ストロボ軸線上の一点が明るく、それ以外が暗くなってしまうのです。もちろんストロボ直当てよりもソフトな光にはなるのですが、それでも光の芯ができてしまうので、今回の被写体で言うとスプーンとフォークの部分だけが明るく、周辺が暗く写ってしまうのです。

広範囲に均一で柔らかい光を照射しつつ被写体周辺にフラットな映り込みを作るため、乳白アクリルとソフトボックスを併用するセッティングとしました。

まとめ

このようなセッティングで撮影した写真がこちらです。テーブルに敷いた光沢黒アクリルはその名の通り真っ黒なのですが、背景の乳白アクリルを映り込ませているので、全体的に濃いグレーぽくなっています。一方、スプーンとフォークの影の部分は乳白アクリルの映り込みが届かないので真っ黒になります。このようにフラットな環境光に対してクッキリとしたシャドウを出すことで被写体周辺のコントラストを強くしています。これにより被写体本体とシャドウの両方でスプーンとフォークのフォルムを表現しつつ立体的に浮かび上がらせるように表現しています。

ライティングを組み上げる時、硬い光や柔らかい光といった「意図した光を作る」ということは意識するものですが、今回の記事にも書いたような「映り込みも意識した光の作り方」があるということをなんとなくご記憶いただければ幸いです。

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