ひと目でピンとくる 伝わる写真の撮り方

写真撮影機材のモダン化

はじめに

仕事で撮ることが多い撮影ジャンルはイベントの記録、エグゼクティブポートレート、商品撮影。これらを撮影するための機材としてCanon EOS EFシステムとフェーズワンを使っているのですが、今回これらの撮影環境を一斉にリプレイスしてモダン化することを決意しました。

リプレイスの対象

売却予定のEOS EFシステム一式

現時点で私が業務で使用している撮影機材は以下。

Canon EOS EFシステム

<ボディ>

  • Canon EOS 5D MarkIII ボディ
  • Canon BG-E11 バッテリーグリップ 5Ds・5DsR・5D MarkIII用

<レンズ>

  • SIGMA 12-24mm f/4.5-5.6 DG HSM
  • Canon EF17-40mm f/4L USM
  • Canon EF24-70mm f/2.8L USM
  • Canon EF24-105mm f/4L IS USM
  • Canon EF28mm f/2.8
  • Canon EF50mm f/1.4 USM
  • Canon EF70-200mm f/2.8L IS USM
  • Canon EF85mm f/1.8 USM
  • Canon EXTENDER EF 1.4x エクステンダー
  • Canon Extension Tube  EF12
  • Canon Extension Tube  EF25II

PhaseOneシステム

<ボディ>

  • PhaseOne 645DF+
  • PhaseOne P45+
  • PhaseOne 645DF V-Grip Air バッテリーグリップ

<レンズ>

  • Mamiya 645 AF 35mm F3.5
  • Mamiya 645 AF 55-110mm F4.5 Zoom
  • Mamiya セコールズーム AF 75-150mm F4.5D
  • PhaseOne Schneider Kreuznach 80mm LS F2.8
  • Phase One 120mm AF Macro F4.0
  • Mamiya 645 ULD AF 210mm F4
  • Mamiya AUTO BELLOWS マミヤ オートベローズ NC401
  • Mamiya 645 Auto Extenshion Ring NA401

これ以外にも家族を撮影する用のEOS RP、EOS M3や趣味のストリートスナップを撮る用のHASSELBLAD 500C/Mなどもあるものの、これらは趣味で使うものなのでそのまま保有。あくまでも仕事で使うことが主目的なEOS EFとフェーズワンの両システムが今回のリプレイス対象。

リプレイスを決めた理由

Canon EOS EFシステム

EOS 5D MarkIIIを使ったポートレート撮影の現場

世の中のプロフォトグラファーの4割ぐらいが使っているシステムであることが指し示すとおり、ボディやレンズのラインナップ、堅牢性や表現力などいずれも全く不満はありません。ただ、私の手持ちの機材が全体的に老朽化してきており更新期を迎えつつあったのが最も大きな理由です。

EOS 5D MarkIIIは素晴らしいカメラで、これまであらゆる撮影現場で酷使しまくってきたのですが、特に大きな破綻もなく期待通りの画をアウトプットし続けてくれました。とはいえこのカメラも2013年に購入してから7年目。この間にかなりの機能改善も進みました。特に暗部での撮影やオートフォーカスの食いつきは見劣りするところが多く、最近のエントリーモデルのほうが高機能だったりすることも多々です。

レンズはもっと古いものばかり。圧倒的に利用頻度の高いEF24-70mm f/2.8Lは2005年に購入したもの。そもそもこのレンズのデビューは2002年なので、今から18年前に設計されたもの。EF70-200mm f/2.8L ISとEF17-40mm f/4Lも2006年に購入。いわゆる主力レンズがほぼ15年以上前に設計されたものであり、今どきのレンズと比べるとシャープネスが圧倒的に劣ってしまうのです。「交換レンズは一度買うとずーっと使い続けられるから資産である」と語られることが多いですが、ある一面においてはその通りで、私自身も手持ちのレンズは別に使えなくなったわけでもなく、今でもしっかり現役で使い続けているわけですが、どんどん高画質かつ使い勝手がよくなっていく中で、さすがに手持ちの旧システムでは限界を感じ始めたのです。

ハッキリ言うと「画がねむい」のです。具体的にはシャープネスとコントラストが甘いのです。例えばポートレートで人物の目にフォーカスを合わせてバキッとした感じの画を作ろうとしたとしても、なかなかイメージ通りの仕上がりにならないのです。これはある意味においてはやむを得ないと思うのです。もともと僕が使っていたレンズは2002年から2005年に設計されたもので、この当時はまだEOS 1VやEOS-3といったフィルム一眼レフカメラがまだ現役で使われている時代。デジタル一眼レフではEOS 1Dsが当時でいえば驚異の高画素である1000万画素を実現していたものの、一般ユースでは600万画素の10Dが出始めたころです。この当時のレンズは撮影素子に対して斜めの光が入ることを防止するためのコーティングの見直しがさかんに行われていましたが、シャープネスやコントラストといった解像感はまだそれほど課題となっていませんでした。ですが、時代が進みエントリーモデルのEOS kissシリーズでも2000万画素がスタンダードとなってきた時代においては、レンズに求められる解像能力も自ずと変わってきます。撮影環境にもよりますが、135判(35mmフィルム)の解像度をデジタルカメラの画素に置き換えてみると、だいたい1000万画素、よくても1500万画素ぐらいと言われています。この解像感にアジャストしたレンズを2000万画素のデジカメで使うと甘くなるのはある意味では必然です。一方で等倍視聴するわけでなければ1000万画素ぐらいの解像度があれば必要にして十分という考え方もあります。フィルム写真で135判でポスターサイズのグラフィックを作っていた時代もあるわけなので、最終アウトプットの視聴距離、視聴環境に合わせた解像感が確保できていれば問題ないわけです。

よく笑い話で「A0サイズのポスターに使う写真を撮ってほしいです。印刷解像度350dpiを確保したいので縦横ピクセル計算して1.9億画素で撮ってください」というネタがあります。一般的にカラーの印刷解像度は350dpiぐらいと言われていますが、これは雑誌やパンフレットなど手に持って数十センチの距離で見るからこそこれぐらいの解像度が必要になってくるわけです。ポスターぐらいの大きな印刷物は数十センチの距離では全体がわからないので実際は2〜3メートル離れた場所から視聴するのが一般的です。こういった視聴環境では150dpiぐらいで十分だったりすることもあります。(ちなみに私はリアルにこの「1億画素で撮ってください」を言われたことがあります)

ですが、高画素高解像感を実現できているとトリミング耐性が上がります。撮影状況に合わせた適切な構図で撮るのが基本ではありますが、スポーツやイベントなど、いつ何が発生するかわからない環境で撮影をする場合、広い画で撮っておいて、そのうち一部分をトリミングして仕上げるということも多々あります。

PhaseOneシステム

PhaseOneを使った物撮り現場

キヤノンやニコンといったメーカーは有名ですが、PhaseOneというシステムをご存じない方も多いのではないかと思います。いわゆる中判デジタル一眼レフというジャンルのカメラです。キヤノンやニコンでは135判(35mm)フィルムと同じサイズのセンサーを「フルサイズセンサー」と言いますが、中判はそれよりも大きなセンサーを持っています。僕が使っていたP45は645判フルサイズの90%のセンサーですので、135判フルサイズと比較するとセンサーサイズがだいたい2倍程度です。センサーサイズが大きいメリットはセンサーピッチに余裕を持たせられることであり、結果的にダイナミックレンジに余裕が生まれます。端的にいうと黒潰れや白トビが起きにくく、RAW現像耐性が極めて高い写真が撮れます。

デメリットとしてはとにかく重いこと。巨大なセンサーを持ったデジタルバックをハンドリングするため、ボディもレンズも巨大です。そして高感度には激しく弱いです。最大感度はISO800ですがISO400の時点で既にノイジーで使い物になりません。せいぜいISO200まで。典型的な「低感度高画質機」です。連射も秒0.67コマで、なんと1秒に1コマも撮れないのです。このスペックでご理解いただけるかと思いますが、PhaseOneシステムはスタジオでライティングを完璧に整えた状態で使うことを想定されたシステムです。なので私もエグゼクティブポートレートや物撮りのときは照明をばっちりセットして、重量級のアルミ三脚にしっかり固定して使うことが多かったのです。

こういった撮影環境で生み出される写真は圧倒的に高画質で素晴らしいクオリティだったのですが、数年このシステムを運用してみた結果、以下2点の理由でシステムの維持を断念することにしました。

1)完璧なライティング環境で使う分には問題ないが、実際は撮影環境が混在する状況が多い

例えばエグゼクティブポートレートの場合、スタジオで単色背景を撮影したあと、オフィス執務フロアでの立ち姿を連続で撮ったりすることが多いのです。この場合、スタジオのライティングを完璧に仕上げて、オフィスでの撮影は別途照明をセットする必要が出てきます。ただ、オフィスでの撮影は完全に予定調和で撮影を進めることが難しく、細かい場所の移動が頻繁に発生します。そうなると場所に合わせて照明の再セッティングが発生します。時間があればそのような撮影でも問題ないのですが、いかんせんモデルはエグゼクティブですから時間がほとんどありません。そんなわけでスタジオはPhaseOneで撮り、臨機応変な対応が求められるオフィス風景はEOSといった感じで使い分けることが多くなっていました。

2)機材がハンパなく高価で機材のアップデートについていけなくなった

PhaseOneのシステムは信じられないぐらい高価です。デジタルバックは現行品の最安値のタイプでも300万円以上。レンズも1本あたり60〜70万円から。一旦は型落ちや中古を駆使して一旦はシステムを揃えてみたものの、業務レベルでシステムを維持していくためには定期的な更新が必要になってくるわけで、いかに高画質とはいえ、さすがに費用対効果に見合わないと判断するに至りました。

まとめ

EOS EFシステムのように、どんな環境でも対応できるカバー範囲の広さ。そしてPhaseOneのように高解像度高画質の仕上がりを両立できるシステムを検討した結果、Canon EOS Rシステムへ完全移行することにしました。きっかけはEOS R5の発表です。EOS R5に惹かれた理由はまた別のエントリでお話します。

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