ひと目でピンとくる 伝わる写真の撮り方

ライムの水しぶき

はじめに

テレビや雑誌で飲料の広告を見ていると、グラスのドリンクに氷が落ちてきて水しぶきが飛び散っているクリエイティブが採用されているのをよく目にします。ドリンクの清涼感を想起させるのに適しているからこそ、古くから多様されてきたイメージなのではないかと思います。今日はそんなイメージを試しに撮影したときのノウハウを紹介します。

セッティング

先日掲載した電球スプラッシュ同様、水が飛び散っているシーンの撮影ですから、当然のことながら水対策が必要です。

電球スプラッシュのときは大きなダンボールにビニール袋を敷いて水受けとしましたが、今回はビニールプールをセット。プールの中に一斗缶を撮影台替わりに置いて、その上にアクリルをセット。撮影台は一斗缶でなくともなんでもOKですが、プールの縁よりも高いものでないと撮影時に縁が写り込んでしまうので注意です。

セッティングを図にするとこうなります。被写体の背景にトレーシングペーパーをたらして、その背後にフラッシュを1灯設置。真っ白背景でさわやかなイメージを演出します。そしてカメラから見て左斜め45度の場所にスヌートをつけたフラッシュを設置。このフラッシュでグラスのエッジのキラキラを作ります。なお、前掲の現場写真を見るとスヌートが左右両方に配置されているように見えるかと思いますが、実際に発光させているのは向かって左側だけです。セッティング中に左右どちらから光を当てた方が映えるか検討したいと思っていたのですが、かといってテイクごとに灯体を持ち運ぶのも手間がかかるので、最初から両側にセットして灯体のオンオフでハイライトの入り具合を確認することにしたのです。

被写体のセットが終わったら、カメラを被写体の真正面にセット。三脚でガッチリ固定して以下のような設定値に合わせます。

カメラEOS 5D MarkIII
レンズEF70-200mm f/2.8L IS
ISO感度100
露出プログラムマニュアル
シャッタースピード1/200
絞りf/8.0

撮影の段取り

セッティングが整ったところで、いよいよ撮影です。前回の電球スプラッシュは照明にLEDライトを使ってシャッタースピードを1/8000にすることで水の動きを止めましたが、今回はフラッシュの閃光速度で水の動きを止めます。

ちなみに、冒頭のライムを落としている写真と撮影風景の写真で、セットしているグラスが違っていることに気になっている方もいらっしゃるかと思います。実はこの撮影風景でセットしているウイスキーグラスは撮影中に誤って割ってしまったのです。

当初はこのウイスキーグラスに氷を落として飛び散る飛沫の写真を撮っていたのですが、何度か撮影を繰り返していると氷がグラスの縁に当たってしまい、当たりどころが悪かったのかグラスがそのまま割れてしまったのです。ちなみにこの氷は本物ではなくアクリル製のイミテーションです。

そのようなわけで、同じセットでシーン2。縦長グラスに氷をギッシリ詰め込み、水を縁ギリギリのところまで入れた状態でアクリル板の上にセット。今回は上から落とすのがアクリル氷のような硬いものではなくライムなので、グラスが割れる心配はありません。

背景や照明のセットが終わっていて、被写体を配置したら撮影はすぐにでも取りかかれます。取りかかれますが、すぐに撮り終わるわけではないところが悩ましいところ。キレイな水しぶきが撮れるまでひたすらライムを落とします。ライムを落として水しぶきを立たせる。2〜3回すると水しぶきが立たなくなるので水を補充。といった感じでテイクを重ねます。時々ねらいが外れてグラスの外にペチャっと落ちたりするととっても切ない気持ちになります。

そうやって何度も繰り返して撮影した中で、なんとなくそれっぽく撮れたテイクがこちら。もうちょっと派手に水しぶきを飛び散らせたかったけど、グラスの中のアクリル氷の量だったり水の入れ具合で飛び散り方がけっこう変わるので、いろんなバリエーションでトライアンドエラーをしていると、ただでさえリテイクの多いこの撮影にもっともっと時間がかかってしまうので、今回はこのあたりで終了。

さいごに

さきほどの写真でだいたい仕上がってはいるものの、アクリル板が水浸しです。こういった撮影でリテイクのたびにアクリル板を拭いたりするのは効率が悪すぎるので、さきほど掲載したライムを落とす前に撮影したグラス単体の写真からアクリル板部分を切り抜いて合成します。

そうやって仕上がった写真がこちらです。いかがでしたでしょうか?ちなみに、もしこういった写真を本気で広告ビジュアルとして使うとなると、季節感やシーンのシチュエーションなどもっと表現すべき要素が多々あります。氷が詰まったグラスなのに水滴がついていなかったり、グラスにハイライトが入っているのに飛沫があまりキラキラしていなかったり。作画意図によって表現すべき要素は大きく変わります。そんな中今回はあくまで水しぶきの撮り方にフォーカスして撮影してみました。この記事をご覧いただいているみなさんの何かの参考になれば幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です