ひと目でピンとくる 伝わる写真の撮り方

スポットライトを浴びたガーベラ

はじめに

花屋さんで物撮りの被写体になりそうな形の整った花がないか探してみたところ、キレイなガーベラの花があったので購入。どう撮るか考えた結果、舞台でスポットライトを浴びているような感じで仕上げてみることにしました。

セッティング

セッティングはとってもシンプル。テーブルに白アクリル板をセットして、その上に花瓶に指したガーベラの花を置きます。

被写体とカメラ、照明の位置関係はこんな感じ。照明はガーベラのほぼ真横の高位置に配置。スポットライト風の雰囲気を出すために、かなり高い位置からほぼ真下に向けて灯火しています。

撮影の段取り

被写体のガーベラはボトルに乱雑に刺しただけですが、花がいい感じで見えるように向きを微妙に調整します。

ここまでのセッティングは一般的。今回の撮影の一番のポイントはコレです。ストロボの先端に筒状のものをつけています。これは「スヌート」といって光を拡散させないための道具です。

そもそも光というものは、何もしなければ勝手に拡散していくものです。天井から白熱電灯がぶら下がっている状況を思い浮かべてください。電球の真下は当然明るいですが、横の壁も同じく明るくなっていますよね。この電球にランプシェードをかぶせることで、光に指向性をつけて下への光量を多くします。

このように、照明とは光の方向とタイプをコントロールするものなのです。よく撮影現場で見かける傘のようなアンブレラや、最近流行りのソフトボックスなどは、基本的に光を拡散させて「柔らかい光」を実現させるためのものです。柔らかい光とは被写体を回り込む性質があるので、影が薄くなります。そうすることでコントラストが控えめな、ソフトな写真を撮ることができるようになります。

一方このスヌートは逆です。先細りの形状をしているので、周囲に拡散しようとした光は全て筒の内壁に当たって吸収されてしまいます。そして収束された光が先端の直径数センチの開口部から被写体に向けて放たれるわけです。

まとめ

こうやって撮影した写真がこちらです。前述の通り、アンブレラやソフトボックスが光を拡散して柔らかい光を作るわけですが、スヌートはその逆。光を極力収束させて固い光を作ります。そうやって作られた光は陰影が強く、明部と暗部の境目にクッキリとしたエッジを描き出すことができます。

思い起こせば、照明を学び始めた当時は、柔らかい光によるソフトな仕上がりがかっこよくて、いかに柔らかい光を作るかに腐心していました。ですが、このように陰影が強くエッジが浮き出させる表現はドラマチックな仕上がりとなり、見る人たちに強烈な印象を残すことができます。表現の良し悪しは使い所によりけりですので、こういったテクニックも覚えておいて、表現意図に合わせて使い分けるのをお勧めします。

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